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CAREER STORY

活躍する次世代の臨床検査技師とは?
臨床検査技師として
働く現場のリアルを聞いてみました。

久留米大学病院臨床検査部主任技師 伊藤 慎一郎さん

久留米大学医学部附属臨床検査専門学校 卒業

Graduate
久留米大学医学部 医療検査学科 - CAREER STORY / 伊藤

チーム医療の導入が進み、
検査のエキスパートとして求められる高度な知識と技術。
AI等も活かしながら、臨床検査技師のプレゼンスを高めていきたい。

Q1.

臨床検査技師の仕事内容について教えてください

患者さんの身体から採取した血液や尿などの検体を対象に、成分や細胞の数、形態などを調べる検体検査と、患者さんの体に測定機器を使用して、生体の機能や構造を評価する生理機能検査という、大きく2つの分野で活動します。

近年では臨床検査技師の知識やスキルが、医療機関に限らず、企業、教育機関、研究機関などの幅広い領域で活用され、医療以外の分野でも多くの貢献をしています。

久留米大学医学部 医療検査学科 - CAREER STORY
Q2.

伊藤さんが担当している業務の内容を教えてください

私は生理機能検査の中でも、音としては聞こえない高周波数の音波を用いて、体の様々な臓器を画像化し、病気を調べる超音波検査を行っています。

特に専門は循環器領域で、心臓の構造や機能に異常がないか、血管の形態、血栓の有無、血液の流れなどに異常がないかなど、超音波診断装置を用いて心臓や血管の検査を行っています。また、大学病院ですので、学生や研修医の先生方へ教育を行ったり、医師と連携・協力しながら研究にも取り組んでいます。

久留米大学医学部 医療検査学科 - CAREER STORY
Q3.

担当している業務以外で、臨床検査技師が行う仕事があれば教えてください

臨床検査に関する知識を生かして医療機器メーカーでのデモンストレーションや製品説明などを行う仕事があります。さらに、治験コーディネーターとしても活躍することもできます。治験コーディネーターは、医療機関、製薬会社、患者さんとの間に立ち、新薬の開発試験である治験が円滑に進行するようにサポートする役割を担います。

最近では、臨床検査技師の資格を取得した後、大学院に進学し、修士や博士号を取得して大学などの教育・研究機関での職に就く方も増えています。

Q4.

臨床検査技師としての仕事のやりがいとはどのようなものですか?

私が行っている超音波検査では、自分の経験や知識が直接検査のクオリティに反映されます。自分の検査によって病気を早期に発見し、適切な治療を提供できた際、この仕事を選んで良かったという大きな達成感を味わいます。

また、病院に勤務する場合は、直接患者さんとコミュニケーションをとりながら検査に携わる機会も多くあります。患者さんの痛みや苦しみに共感し、検査後に感謝の言葉をいただけた際、これこそが医療従事者特有のやりがいを感じる瞬間です。

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Q5.

医療現場の変化に伴う臨床検査技師へのニーズの変化はどのようなものがありますか?

近年、医師不足や医師の長時間労働が社会的な課題となっています。この問題に対処するため医療現場では「タスクシフト」が進んでいます。これは従来、医師や看護師にしか行えなかった業務の一部を他の職種に分担する仕組みのことです。タスクシフトにより、医師や看護師の負担を減らすだけでなく、臨床検査技師の専門知識を生かして医療へ貢献することが期待されています。

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Q6.

なぜ臨床検査技師の技術力の高まりが期待されているのでしょうか

近年は医療の高度化や専門化が進んでいるので、医師や看護師だけでなく、多数の医療職が連携して患者の治療を行う「チーム医療」が多くの病院で行われており、臨床検査技師もチーム医療の一員として積極的に働いています。

臨床検査技師は検査の専門家として、高品質な医療を提供するために、高度な知識とスキルが求められており、自己研鑽と専門認定資格の取得などを通じて、自身の知識と技術を継続的に向上させることが重要となっています。

Q7.

次世代型臨床検査技師とはどのようなものだとお考えですか

やはりAIが重要な役割を果たすと考えます。実際、私が行っている心エコー図検査ではAIによる自動計測が導入され、従来と比べて高速かつ高い再現性の結果が得られるようになりました。

しかし、AIが提供する結果の妥当性や臨床的な意義への展開、総合的な判断など複雑な作業には依然として熟練した検査者の専門知識と判断が必要です。次世代型の臨床検査技師は、堅実な医学的知識を持ちつつ、AIを活用し、高品質な検査を提供していく役割が期待されています。

久留米大学医学部 医療検査学科 - CAREER STORY
Q8.

臨床検査技師として将来の目標や夢があれば教えてください

近年、循環器領域はカテーテル治療や外科手術の進歩が目覚ましく、従来の検査室だけでなく、手術室やカテーテル室などで医師や他の医療職とチームを組んで超音波検査を行う施設が増えてきました。我々の施設でもこのような要望が増えてきています。

今まで以上に知識や技術が求められると思いますが、治療現場など病院の様々な場所で活躍することで、臨床検査技師のプレゼンスを高めていけたらいいなと思っています。

久留米大学医学部 医療検査学科 - CAREER STORY

Doctor Interview

臨床検査技師の方々は、
私達の診療の中で、
無くてはならない存在です。

臨床検査技師の方々は、日々の私達の診療の中で無くてはならない存在であり、疾患の病態について定期的にミーティングや研究を行っています。たとえば私が専門としている消化器内科では、内視鏡検査・治療時にともにいていただき、採取した細胞や組織から検体の処理を行ってもらっています。また、病理標本の作製に携わっていただく方々には、一緒に顕微鏡をみながら、診断や治療を検討する話し合いにも参加して頂いています。

患者さん中心の医療を行うためには、様々な職種が医療に携わることが求められています。実際に、令和3年には、厚生労働省より、様々な職種が行える業務が拡大し、多職種が患者さんに積極的に関わる「タスクシフト」が推奨されています。臨床検査技師の方々も検査のみを行うのではなく、医師や多職種とともに患者さんに直接関わる時代になったため、求められるスキルも高まっています。

器械的に検査を行うのではなく、検査の原理と病態を理解しながら検査を行うことが求められています。また検査で得られたデータを管理できるデータマネジメント能力、さらに多職種連携によるチーム医療ではコミュニケーション能力も必要です。皆様が医療の発展に共に貢献できる臨床検査技師になることを期待しています。

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久留米大学医学部内科学講座
(消化器内科部門)
教授 川口 巧さん